11月に能代で開催される秋田県建築士会大会に向け、見学先の現地確認を行いました。
今回訪れたのは、井坂記念館とマルヒコビルヂング。
井坂記念館は、「木都能代の父」と呼ばれる井坂直幹の功績を伝える施設です。

井坂直幹は明治22年(1889年)に能代へ赴任し、その後、機械製材を取り入れるなど木材産業の近代化を進め、明治40年(1907年)には秋田木材株式会社を設立しました。能代が「木都」と呼ばれるようになる礎を築いた人物です。
現在の記念館は旧井坂邸跡地にあり、1階には能代の木材産業に関する資料、2階には井坂直幹の遺品や秋田木材に関する資料などが展示されています。
建物そのものも、能代の歴史を伝える存在の一つです。

普段何気なく「木都能代」という言葉を使っていますが、その背景にどのような人がいて、どのように産業が発展してきたのか。改めて知ると、今の能代のまちを見る目も少し変わってきます。
そしてもう一か所が、能代駅前のマルヒコビルヂング。

この建物は、立ち上げの段階から私自身も一緒に関わり、改修工事は鈴喜代で施工させていただいた建物です。
もともとの建物が持つコンクリートの表情を残しながら、木を加え、新しい居場所へと再生しました。
自分たちが関わった建物が、数年後に地域の見学先として紹介されることになるとは、施工当時は想像していませんでした。
完成した当時は、どう使われていくのか、地域にどう根付いていくのかという思いもありましたが、今こうして多くの人が集まり、子どもから大人まで使う場所になっている姿を見ると、建物は完成して終わりではなく、使われながら育っていくものだと改めて感じます。

今回、県建築士会大会の見学先として改めて中を歩いてみると、施工当時とはまた違った見え方がありました。
井坂記念館が、木材産業によって発展した「木都能代の歴史」を伝える場所だとすれば、マルヒコビルヂングは、既存の建物を活かしながら新しい価値をつくる、「これからの能代」を感じられる場所だと思います。

