暮らしと地域

盛岡の近代和風建築「南昌荘」を訪ねて

盛岡市での研修に合わせて、明治時代に建てられた近代和風建築「南昌荘」を見学しました。

南昌荘は、明治18年頃に建てられた歴史ある邸宅です。広い板間や長く続く縁側、繊細な木製建具、庭と一体になった空間構成など、随所に当時の職人の工夫が感じられました。

特に印象に残ったのは、建物の床の高さと軒の高さです。

単に庭に面して窓を設けるのではなく、室内から座ったとき、立ったとき、そして縁側を歩いたときに、庭やその先の山並みがどのように見えるかを考えながら、高さや角度が調整されているように感じました。

床の高さ、軒先の位置、建具の開口部が重なることで、庭の景色が一枚の絵のように切り取られています。建物と庭を別々につくるのではなく、建物の中から見える景色まで含めて設計されていることが分かります。

また、岩手県の建物ということで、当初は松系の材料が多く使われているのではないかと想像していました。しかし、実際に見てみると、随所に美しい杉材が使われていました。

木目の表情を生かした杢目(もくめ・木目が模様のように現れた材)や、まっすぐに通った柾目(まさめ・平行で整った木目)の杉材が、天井や建具、柱などに丁寧に使い分けられています。

材木は、同じ樹種であっても、切り出す位置や木目の方向によって表情が大きく変わります。どこにどの材を使うかを考え、木の特徴を意匠として生かしている点は、製材所を原点とする私たちにとっても大変興味深いものでした。

現代の住宅には、高い断熱性や耐震性、省エネルギー性能が欠かせません。一方で、窓の先に何が見えるのか、光がどのように入り、軒がどのように景色を切り取るのかといった感覚も、住まいの心地よさを左右します。

高い性能を備えることは、今の家づくりでは前提です。そのうえで、木の選び方や庭とのつながり、室内から見える景色まで丁寧に考える。

南昌荘の建築から、長く愛される建物には、数値だけでは表せない細やかな設計の積み重ねがあることを改めて学びました。

さて、今晩は能代の花火です。

あいにくの雨予報ですが、どうにか打ち上げ時には天気が回復することを祈ります!

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能代木材産業連合会
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